ピンぼけブログ館II

京都人のおじさんです。仕事場は大阪船場。近所をブラブラ歩きながら、写真を撮ったり、お寺や神社に参ったり、ギャラリーをのぞいたりしてます。余り飛び回れなくなりましたが、鉄ちゃんでもあります。 よろしくお願いします。地元の叡山電車の写真をメインとした鉄道の話、京都・大阪とその近郊のお散歩やギャラリー巡りの感想、ちょっと遠出できたときの旅行記、などなど、なんでもありの雑文などをぐだくだと.... (by なかっちょ from Kyoto)

京都府新鋭選抜展2023 in 京都文化博物館

  2月5日は、京都のギャラリー巡り  

  京都文化博物館は、京都府新鋭選抜展2023の最終日。滑り込みで見れました。

なお紹介する作品は、管理人の好みで選んでます。入賞作でも省いている場合がありますので悪しからず(^^;
 

  岩坂 佑史「何のためにするのか思い出せ」【日本経済新聞社京都支社賞】

和紙を模様のように切り抜いた作品。壁に映る影絵が美しいです。
タイトルは、いつ仕上がるともわからない(^^; くり抜きの単調な作業を皮肉っているのでしょうか。
 

  こしま ともみ「あのね、山がしゃべったよ」

段ボール細工は、パッと見は幼稚園児の工作(失礼)のロボットかロケットのようですね。
新緑の季節を「山笑ふ」と表現しますが、作品の「藍色や緑色は高い山で、吹き出しのようなのはしゃべっている様子。」なのでしょうか。
 

  白井 聡子「追想に迷う」

型染めの絵の手前は、普通の線路をくぐる歩行者用ガード。その向こうは城郭の廃墟でしょうか。トンネルを通り抜けるとそこは雪国ではなく異次元だった(笑)
 

  堂東 由佳「用途未定の紙シリーズ」

シルクスクリーンで刷りだした作品。色んな素材を一面にまとめた作品は、最近は良く見ますね。
上手に表現するとアンソロジーとか曼荼羅とかと称賛されますが、下手すると単なる寄せ集め・見本帖(^-^)
 

  松岡 柚歩 "outkine (check #150)”

ベースのチェック柄を構成する色が大胆に塗りつけられています。
アブストラクトな作品は、どう解釈するか勝手ですが(^.^) 家族団欒ー左の青がお父さん、右の黄色がお母さん、下の空色と紅色が子供たち、上の銀色とオレンジ色は食卓とお料理と読み取ってみました(^^♪
 

  たむら ちひろ「遠くの波へ」【産経新聞社賞】

染色作品です。きれいな作品ですねぇ。タイトルから海の波のイメージかもしれませんが、流れ落ちる滝を感じました。
 

  森山 佐紀「石の夢」

これも良く見ないと、小石のマンダラ風(^.^) かと思っちゃいますが、木片に漆で彩色して並べた作品です。石では加工が難しそうな造形もありますもんね。アイディア賞(笑)
 

  山田 千尋「穴」【毎日新聞社賞】

これも会場ではタイトルの意味がわからなくて、棚の空いてるところが「穴」なんかな? って、思ってましたが、
ブログ書くために作品をよく見たら、人の顏の耳の穴や目の眼窩を表しているようですね。
 
  荒川 朋子「へそ天くまちゃん」

最初は、単に「カワイイぬいぐるみ(*^▽^*)」で、写真撮ってきましたが、説明によると木彫につけまつげを植えたクマだそうです。
そうわかると、大変な作業量を思って作品の価値観がグッと上がりますね(^^)
 

  山本 紗佑里「ぬるい熱を抱えて毛布に仮の星を吊るす」
朝日新聞社賞】
 

  これも普通に見ただけでは、線描で花を描いた刺繍作品ですが、バラの花をかたどっているのは糸ではなく毛髪なのです。

説明を読んで、失礼ながらグロもチョット感じましたが(^^;、人毛でこんな表現ができるんだ(*‘ω‘ *) という意外感が勝りました。もちろんダメですが、作品に触って見たかった(^^;
 

  西久松 友花「無相の華」

無相とはいいながら非常に自己主張している(^.^) 三体の陶像です。きらびやかに見えて、色合いからでしょうか質素な感じに仕上がってますね。
 

  山西 杏奈「他者の触覚にふれる」

木彫のクッションです。(触れれば) 硬いはずですが(笑) 見る角度によっては、柔らかい布製にも見えました。
 

  もちろん近づくと木彫りと分かりますが、視覚だけで早や合点してしまうのではなく、「五感を使って鑑賞してくださいね(^^)」と、言われているようです。  

  粟坂 萌子「FREEDOM」【ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川国際交流賞】

映像作品です。3台のモニターが風景を写しています。そこへ恐らく作家自身が匍匐前進で、少しずつ進んでいきます。
身体を意識した作品を造られている作家さんなので、体を張ったパフォーマンスなのですね。
 

  岩泉慧「神奈備 Halo 34°32'07.1"N 135°52'00.1"E」

タイトルの座標は奈良の三輪山の山頂を示します。作家さんが聖地で得たインスピレーションをもとに特殊な用紙と顔料を使って、渓谷を作り出すのだそうです。虫眼鏡を通してみると凹凸がハッキリ見えました。
ただそれが、どんな形(あるいは三輪山の立体地図とか)なのかは判別できませんでしたが(^^;

 

  森田 志宝「Lacquer tree-06」【優秀賞】

絹糸を漆で固めて、立ち上がらせています。支柱なしで自立しているようです。
柔らかな糸を漆でコーティングすることで、針金並みの強度をもたせているのでしょう。
 

  展示の一番最後に置かれていて、見過ごしそうですが、非常にインパクトのある作品です。講評にも書かれているように、作家が漆に対する豊富な知識・技能とそれを生かす感覚を持たれているからこそ造り得た作品と思います。*  

  全体を通した感想ですが、今年はコロナ禍も落ち着いてきたこともあってか、華やかな色合いの作品が多く、単に奇をてらうパフォーマンス的作品ではなく、じっくり考え十分に制作期間をかけて練り上げた完成度の高い作品ばかり並んだと思います。

ただその分、難解な(笑)作品が多くて簡単でいいので解説文をつけてもらえるとより分かりやすく鑑賞できるのですが(^.^)

京都の芸術界の登竜門とされる本展から若手・中堅の作家さんが羽ばたいて行かれることを祈ってます。
*
 
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