ピンぼけブログ館II

京都人のおじさんです。仕事場は大阪船場。近所をブラブラ歩きながら、写真を撮ったり、お寺や神社に参ったり、ギャラリーをのぞいたりしてます。余り飛び回れなくなりましたが、鉄ちゃんでもあります。 よろしくお願いします。地元の叡山電車の写真をメインとした鉄道の話、京都・大阪とその近郊のお散歩やギャラリー巡りの感想、ちょっと遠出できたときの旅行記、などなど、なんでもありの雑文などをぐだくだと.... (by なかっちょ from Kyoto)

京都市立芸大作品展(その2) in 京セラ美術館

  2月11日の京都市立芸大の卒業・進級制作展の続きです。  

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  日本画コースに展示室に入ります。「アレっ?どっかで見たような絵なや」と思ったら模写の展示でした。
高画質のデジカメで襖絵のような大きな作品も高画質でプリントできる時代になりましたが、やはり肉筆での模写は、古美術の保存・研究には欠くことのできない技術なんでしょう。
 

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  どの作品も本物と見まごう出来栄えですが、伊藤若冲の「老松白鶏図」を上げておきます。
[作家さんをメモするの忘れましたm(__)m]
 

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  みずな「初冬山水図」より蓬山常世の国
これは、面白い作品です。どこかの社寺参詣曼荼羅図の上に、山水図を貼り込み、サザンカの花まで描き添えてあります。
模写と二次創作が合体したような(^.^)
 

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  尾崎 晴「大晦日
タイトルを見ると、年越しの行事か何かを表しているのかも知れませんが、よくわかりません(^^;
でも、物凄い迫力で迫ってくる絵でした。ジッと見つめていると頭が痛くなりそうでした(笑)
 

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  杉本 遊美「君を幸せにしたかった」
ここまで来ると、「日本画」のジャンルを超えて、日本画材も使った「インスタレーション」あるいは「ミクストメディア」というべきでしょうか(^.^)
 

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  堀 花圭「逢魔時」
これは、タイトルからイメージが湧きますね(^^)
描かれているのは、山奥の峡谷でしょうか、湖でしょうか。あるいは作家さんの心象風景で現実のモデルはないのかも。
 

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  荻原 風圭「あまやかに陽の射せる昼、孤独の行く末を見誤ったまま、わたしは。」
長いタイトルですね(^^; この作家さんは、たまたまSUNABAギャラリーさんで作品を見かけてお上手なので、感心した方です。
描かれているのは、学生マンションの一室でしょうか。雑然とした室内の描写が、単なる(失礼)現代の風俗画かと思いましたが、
 

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  よく見ると、カーテンの隙間からタバコを持つ手が透けてますね。危うく見逃すところでした(^.^)  

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  河野 沙也子「忘れないでよ」
絵物語のいちシーンを思わす絵ですが、ところどころ紙を貼って描き直した、あるいはそこだけ下書きのままにしたような面白い表現になっています。
わざと未完成のように見せて、鑑賞者に考えさせようとしているのでしょうか?
 

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  湯浅 沙月「憶う」
管理人の好きな、アジサイの花です。作家さんの意図とは違うかもしれませんが、梅雨時の曇り空にしっぽりと咲いている、伝統的な屏風絵の系譜を引く作品と受け止めました。
*
 

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美術系大学の卒展を見出した頃は、「芸大生は上手いけどアカデミック過ぎる」と敬遠してたんですが(^_-)-☆、美術品を見慣れてくると、単なる上手い下手では計れない芸大生の良さっていうのがわかってきますね。

時間の都合で、全部見れませんでしたが、若きアーティストの今後の活躍に期待しましょう!!

 
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京都市立芸大作品展(その1) in 京セラ美術館

  2月11日は、京都のギャラリー巡り。芸大の卒展と個展を見てきました。  

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  京都市立芸大の卒業・進級作品展は、京セラ美術館と学内の2会場で開催ですが、時間の都合でこの日は京セラの陶磁器・漆工と日本画コースをメインに見てきました。  

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  天野 靖史さん(陶磁器)の作品「最後のこども」  

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  楽しく遊んでいるようにも、ひとりぼっちでさみしくしてるようにも見える陶人形の子ども達です。  

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  福永 祐衣さんの作品「穀実る月」  

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  作家さんの説明書きによれば、「最初は(上の写真のような)タペストリーとして飾ることを想定したが、途中からポストカード(下の写真)として送ることを考えた。」のだそうです。  

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  大西 由羽さんの作品「うるしたまご」  

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  うるしのたまごから鳥や爬虫類が生まれてきます。遊びごころが楽しいですね(^.^)  

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  南場 あかね作品「白変塗旅行鞄 -よわのつき- 」  

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  レトロなデザインのトランクに白い漆の花が咲きます。  

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  周 逸喬さんの作品「相」と「煩悩」  

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  漆細工の容器と置物。実用品も工芸品の昔から数限りなく作られているだけに、作家さんの個性を出すのは大変な努力がいることと思います。  

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  長谷川 浩大さんの作品 "A Warm Fortune"
和の伝統工芸的な作品です。寒い時期は灯りにほっこりしますね(^^)
*
 
  日本画コースに続く)  
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グループ展「あしもとにゆらぐ2」in 京都府立植物園

  2月6日は、朝から良い天気。ぽかぽか陽気(^.^)に誘われて、植物園にいってきました。  

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  植物園会館では、「希少植物」をテーマにしたグループ展「あしもとにゆらぐ2」をやってます。  

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  「希少植物」を「絶滅危惧」とか「環境破壊」とかと捉えると重いテーマになってしまいますが(^^; それほど深くは考えずに、数は少ないけど私たちを楽しませてくれる草花たち(^^) と、受け取りましょう。  

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  純粋なボタニカルアートよりも、癒し系のホッと和ませてくれる絵が多いですね。
花の少ない時期だけに、会場は華やいだ印象です。
 

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  あまり知ってる作家さんは出展されてませんが、これは白野有さんの作品。
反射して写りが悪いですが、左端の「立浪草の舟」と題された作品が目に留まりました。藤色の花が心を落ち着かせてくれるようでした。
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京都日本画新展2021 in 美術館えきKYOTO

  1月30日は、京都の美術館巡り。京都文化博物館と美術館えきKYOTOに行ってきました。  

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  えきKYOTOでは、日本画進展をやってます。

写真撮影は禁止ですが、キャプションに作家さんの想いが少し書かれているので、鑑賞の参考になります。
やはりコロナ禍に伴う活動自粛は、アーティストにも大きな影響を与えていることがわかりますね。
さすがに直截的には描かれていませんが、マスクのような小物やネガティブな表現などに現れているように感じます。
ただ、今までの拡大一辺倒の風潮から、すこし立ち止まって周りを見回せる時間が出来たのは、次なる活動の糧になったのではないでしょうか(^^)
*
 
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京都府新鋭選抜展2021 in 文博(その2)

  1月30日は、京都の美術館巡り。京都文化博物館と美術館えきKYOTOに行ってきました。  

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  [京都府新鋭選抜展2021の続きです]  

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  アンスティチュ・フランセ関西賞 長沢 優希「Komorebi」
お菓子の袋を縛って止めたりするラッピングタイをそれこそ無数につなぎ合わせてレースのカーテン様に仕上げた作品。光を受けてキラキラと輝きます。
個人的には、この展示で一番感動しました(^^)
 

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  NHK京都放送局賞 今井 完眞「Macaw」(コンゴウインコ)
大きく華やかなインコの姿が陶芸で再現されています。コバルトブルーの羽を写してこなかったのが残念(^^;
 

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  石田 翔太「棚行」
居間の様子が、淡いパステルカラーで彩られた張り子で再現されています。
手前の片手は、住人(作家自身か)を表すのか。見方によってはシュールにも感じます(^-^)
 

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  山下 耕平「静かに激しく続いていく」
色々な素材を組み合わせて表現するミクストメディアの作品です。
ガラスケースの中は、紙くずが詰まっています。その上に机と丸いパネル。机の上には張りぼての岩、パネルには手前に右上、向う側は左下の写真が貼られてます。ディスプレイもタイミングを合わせて何か映すのかも?
 

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  同時開催の「京都工芸美術作家協会展」も見ました。
こちらは、中堅からベテラン、そして先生や現代の名工と呼ばれるクラスの方々の作品が一堂に展示してあります。

若い方の、はち切れるような感性もいいですが、ベテランの円熟した技には見惚れてしまいますね。

こちらも写真撮影OKでしたが、素人が感想を書くのもおこがましいので、一点だけ紹介します。
 

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   日下部 雅生「叡電 ひとりきり」
京都市立芸大の染織科教授の先生の作品です。タイトルを読めば説明不要ですね(^_-)-☆

 

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  最後は、別館ホール(元日本銀行京都支店営業室)で、開かれている特別出品:高嶺格「118の除夜の鐘 」に参加します。

足場パイプを組んだ空間の真ん中に鑑賞者が座り、ある音の世界を体験できます。

どんな作品かはネタバレになるので書きませんが(^^; 作家さんの解題めいた文章が掲げてあったので、参考まで(^^)
 
「118の除夜の鐘 」
「嘘をつかないこと。それがアーティストの存在意義である」と人前で話したことがある。数年前に行ったワークショップの際、 話の流れで不意に出た言葉だった。しかし妙に自分で納得し、 続けて「嘘つきのアーティストには存在価値がない」とまで言った。アートの概念が拡張し、なんでもかんでもアートとなった今日、アーティストの定義を考え直す必要性を考えていたこ ともある。そこに「アーティスト=嘘をつかない人」という定 義は、態度表明として、嘘が横行する現状へのカウンターにな り得るんじゃないかと思ったわけである。 役所に勤めるある友人は、最近とみに、政治家の答弁そっくり の物言いを平気でする役人が増えていると言った。国会の茶番 と笑っていたものが、あっという間に伝搬し、リアルに足元ま で近寄って来た感じがすると言うのである。そんな彼との会話 の中から、今回の作品タイトル「118の除夜の鐘」が生まれた。118はご存知、安倍元首相が国会でついたとされる嘘の数である。 作品中、パイプを転がる鉄球は、重力に従ってだんだんにスピ ードを増す。 「嘘つきはより嘘をつく傾向にある。最初は小さな嘘であっても、 次第に嘘をつくことに慣れてしまって、嘘をつくことに対する 罪悪感が薄れていくと、やがて罪悪感を感じずに大きな嘘をつ くようになってしまう。」 
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